「工商時報_名家評論コラム」:人工知能は賢すぎ、著作権は保護しない?

2020-02-05

2016年、韓国の棋王イ・セドルと人工知能(AI)AlphaGoとの五番勝負で、AlphaGoは4:1で大勝し、人工知能の「思考力」が世の中を驚かせた。3年後、AIは絵画と文章書きの能力を身につけた。「次のレンブラント(The Next Rembrandt)」というプロジェクトでは、AIによって30

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2016年、韓国の棋王イ・セドルと人工知能(AI)AlphaGoとの五番勝負で、AlphaGoは4:1で大勝し、人工知能の「思考力」が世の中を驚かせた。3年後、AIは絵画と文章書きの能力を身につけた。「次のレンブラント(The Next Rembrandt)」というプロジェクトでは、AIによって300年前のオランダマエストロの作風をまねた新しい作品が生み出された。そしてOpenAIという組織では、文章生成システムGPT2を開発した。

ここで問題が発生した。AIも創作できるようになったら、そのAIが生成したコンテンツの著作権は、一体誰に属するのか。8年前に、カメラマンが設置したカメラを使って自撮り写真を撮ったクロザルNarutoは、世界で一番有名なクロザルになった。動物保護団体までサルの自撮り写真はNarutoの作品であり、その著作権はサルにあると主張した。しかしながら、アメリカの著作権局と裁判所は、著作権法において動物は一切権利を持たなく、「人間」による創作しか著作権がないと明示した。

それでは、AIが制作したものは「人間」の創作になるのか。台湾の知的財産局は、仮に制作された音楽はただ機械やシステムの自動学習によって生成されたものであり、人間の「オリジナリティ」や「創作性」がなければ、著作権法に保護されると認めなく、仮に機械やシステムは創作者の道具であり、創作された作品には創作者の「オリジナリティ」や「創作性」が含まれて、単純に機械やシステム生成の結果でなければ、当該作品は著作権法に保護されると認める。言い換えれば、人間の指示に従いなく、賢いAIが「創作」した作品ほど、人の作品ではないと認め、著作権法に保護されない可能性が高い。

2019年4月に、北京インターネット裁判所は一つの判例において、自然人によって創作されたことは著作権法において著作物の必要条件であると判示した。しかしながら、判決においては、AIが自動的に生成したコンテンツは著作物にならないが、公衆が自由に使ってもかまわないことではないと明示した。そのコンテンツはソフトの使用者が費用を支払ってから使用し、自分自身の需要に応じてキーワードを設定し生成したので、ソフトの使用者はコンテンツをもっと使用・伝播する可能性が予期される。使用者の権益に一定の保護を与えないと、コンテンツの伝播には不利であり、その効用は発揮できなくなる。したがって、ソフトの使用者は作者としてコンテンツに署名できないが、その合法的な権益を保護し、社会公衆の知る権利を保障するため、ソフトの使用者は合理的な方法で関連権益の持ち合わせを表明できる。しかしながら、AIコンテンツの権益を守る合理的な方法とは一体どういう方法なのか、判決において説明されなかった。

米国特許商標庁も、AI技術の急激な発展は現在の知的財産保護法にそぐわないことを意識し、また2019年10月30日の官報では13の質問を提示し、AIの知的財産権保護につきパブリックコメントを募集した。例えば、自然人の貢献なしに、AI アルゴリズム・プロセスによって創作された著作物は、米国著作権法の下で保護可能な著作物として認められるべきか。自然人の関与が必要であると仮定した場合、どういった関与があれば十分であるといえるか。AI プロセスが他者の著作権を侵害する場合は、誰が責任を取るのか。著作権侵害に関する現行法の規定は、AIに対する保護は十分に対応するものとなっているか。

人工知能がますます賢く、自主的に運転できつつある中、人の参与を中心にデザインした現行法制は、挑戦されるかもしれない。50年後に、AI弁護士と人間の弁護士が一緒に法廷に立ち、口頭弁論しているときに、AIも人間同様に、同じ権利を有すべきだとすれば、どっちに勝ってほしい?

(この文章は2020年2月5日に工商時報のデジタル新聞「名家評論コラム」に登載されたものである。本文はその節録である。当該法規につきもっと詳しくお知りになりたければ、何なりと弊所までお問い合わせください。)