長年にわたり、中小企業は台湾の経済発展の重要な原動力となっており、その経営者たちが次第に承継を計画する段階に入っていくにつれ、事業承継を計画することはますます重要となる。承継を適切に計画することは、ファミリーの資産と富を相続させ、ファミリーの価値観や家風・家訓、企業文化、人脈を維持させ、分断や法的紛争によってファミリー内の争いを回避し、資源および家業の承継が長らく続けられることを確保したい。家業承継は、個人や後継者だけでなく、公益基金や慈善事業、企業経営などを通して社会に積極的な影響をもたらすことができる。公平性を保障しながら完備な承継設計を行い、財産分与による紛争を回避しファミリーの結束を維持しながら持続可能な経営を行うことは、重要な課題となっている。

金融監督管理委員会は台湾の金融と経済発展を促すために、国内外の資本の台湾投資を誘導し、特色と国際競争力のある資産管理センターを構築している。近時、特にファミリーオフィスを具体的に推進し、個人やファミリー、企業を包括的に支援している。

ファミリーオフィスの主な機能は、企業、ファミリー、個人間の統合の計画を支援することである。コミュニケーションの改善、ファミリーメンバーの能力養成、そしてファミリーメンバーがファミリー、企業、財務を管理するための準備などに協力し、法律や税務、財務を統合したアドバイスを提供することが含まれている。このような専門的なサービスは、ファミリーと企業における世代間の資産移転の効率性と法令遵守を向上させることを目的としている。

ファミリーオフィスは、大体次のように分類されている。一、単一ファミリーオフィス：一つだけのファミリーのためにサービスを提供するファミリーオフィスである。小型の単一ファミリーオフィスは、法律や財務などのスタッフを数名しか配置されておらず、大型の単一ファミリーオフィスは部門をまたがった法務や財務、投資のチームを有しており、そしてファミリーオフィスの運営や戦略を監督するためにCEOを設けている。

二、連合ファミリーオフィス：単一ファミリーオフィスと比べれば、連合ファミリーオフィスはいくつかのファミリーの財産とファミリー関連事務を管理している。

ファミリーオフィスの発展から見ると、一部の連合ファミリーオフィスは単一ファミリーオフィスから進化してきた。いくつかのファミリーが同じファミリーオフィスを共同で利用することは、関連分野の専門家や人事資源などをシェアできるだけでなく、各ファミリーでファミリーオフィスの運営コスト、サービスコストなどの費用を平均的に分担することもできる。

三、バーチャルファミリーオフィス：物理的なファミリーオフィスを設立する代わりに、既存のファミリーの法務、税務、財務アドバイザリーチームを統合し、専門サービスをアウトソーシングすることで、バーチャルファミリーオフィスの専門チームを設立する。

通常、「事前評価」と「計画と設立」の両段階を経てファミリーオフィスが設立される。「事前評価」段階において、ファミリーオフィスの目標、すなわちファミリーオフィスを通して達成したい目標とは何かが検討される。そしてファミリーオフィスを通してファミリーの資産を管理、もしくはサービスを提供することは、果たして個人や家業承継にとって最善の方法であるかを評価するのである。

「計画と設立」段階では、ファミリーメンバーがファミリーオフィスの一部の役職を担うかどうか、専門的なチーム（法律、税務、財務のアドバイザーを含む）をどのように組むか、ファミリーオフィスの運営計画を策定するなどを検討する。その後の運営段階において、ファミリーオフィスの全体的な運営のほか、その戦略がファミリーの需要を満たしているかどうかをモニタリングし、定期的にファミリーオフィスのスタッフや外部のアドバイザーのパフォーマンスとサービス品質のレビュープロセスを確立する必要もある。

つまり、法令遵守はファミリーの財産相続と持続可能なコーポレートガバナンスの重要な基盤である。ファミリーオフィスを活用し、個人やファミリーと家業承継との間の法律や税務、財務を統合した計画サービスを通して、ファミリーの持続可能な経営を承継させる目的を達成することができる。

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この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://www.ctee.com.tw/news/20250912700120-431303