今年初め、欧州特許庁は単一特許ガイドライン(Unitary Patent Guidelines)が今年の4月1日に正式に発効すると公表した。このガイドラインは単一特許を取得するための手続き要件を詳しく説明しており、欧州特許庁の3つの公用語(英語、ドイツ語、フランス語)のHTML形式で提供されている。
単一特許ガイドラインは計8章で構成されており、第1章総則では、単一特許制度の法的根拠、統一特許裁判所の組織および欧州特許庁における単一特許関連事務を扱う単一特許保護部(Unitary Patent Protection Division, UPP)について説明している。第2から5章は、単一効力の請求や手数料、権利回復および訴訟手続きの停止と再開について詳述している。単一効力を請求することは、行政機関手数料がかからないが、特許権者はEPOへ単一特許の更新料 を納付するものとし、その納付方法は従来の欧州特許(European Patent)と同じである。
単一特許ガイドラインの発効により、出願手続きの規定がより明確になった。単一特許制度が発効して2年近くになり、統一特許裁判所(Unified Patent Court)も次から次へと判決を下ろしている。この制度はEUの諸国が数十年の努力を重ねた結果であり、特許権の効力はもはや国境線を超え、企業にとって利用価値の大きいものとなった。ただし、単一特許制度はヨーロッパ大陸全体をカバーするわけではなく、まだ参加していないEUの国がある。企業と特許出願者がこの新旧の制度をどのようにうまく利用するかについては、次の記事で解説する。
参考資料:
[1] https://www.epo.org/en/legal/official-journal/2025/01/a6.html, the new Unitary Patent Guidelines (UP Guidelines) will be published for the first time and enter into force on 1 April 2025.
[2] https://www.epo.org/en/legal/guidelines-up/2025/index.html
[3] https://www.unified-patent-court.org/en/decisions-and-orders