台湾の公正取引法(以下公正法という)第10条第1項によれば、合併とは、事業者が他の事業者と合併する行為、他の事業者の発行済み議決権株式総数もしくは資本額の3分の1以上に相当する株式または出資を保有、または取得する行為、他の事業者の全部もしくは主要な部分の営業もしくは財産を取得、または賃貸する行為、他の事業者と定期的に共同事業を行う行為、他の事業者に代わって経営する行為、または他の事業者の事業運営もしくは人事任命・解任などを直接的か間接的に支配する行為をいう。合併は参加事業者間の関係に基づいて、「水平結合」(同業間で競合している場合)、「垂直結合」(サプライチェーンにおける川上・川下関係にある場合)と「多角化結合」(これらのいずれにも該当しない場合)に分類される。
公正取引委員会は先日、E.SUN FHCによるMercuries Life Insuranceの買収を禁止しないと決議した[1]。この件は、E.SUN FHCが株式交換を通じてMercuries Life Insuranceの発行済み株式を全て取得する提案に関するもので、公正法第10条第1項第2号の合併行為に該当し、同法に基づき公正会に申告したのである。この合併により、E.SUN FHCが保険商品およびその販売チャンネルを把握し、生命保険業界に参入するため、公正会はこの件が垂直結合と多角化結合の両方の特徴を持つと判断した。しかし、両社の保険料とコミッションの収入は垂直独占を促すものではなく、台湾の保険市場が分散しており、販売チャンネルも多様的であるため、競争排除のおそれはない。さらに、法的規制や業界横断的な計画などを考慮すると、公正会は、この合併が市場の競争環境を大きく変えることはないと判断した。公正会は、公正法第13条第1項規定に基づき、この合併には競争を著しく制限する不利益がないと判断し、禁止しないと決議した。
この決議は、銀行チャンネルと生命保険商品の統合により、より包括的な金融サービスを提供できることを示している。主務官庁が市場競争メカニズムが損なわないよう確保することを前提として、このような資源統合は台湾の金融業界の国際競争力を強化するだけでなく、保険契約者の権利保護と産業をアップグレードさせることというウィンウィンの達成にも貢献するだろう。
[1] 公正取引委員会2026年4月8日ニュースリリース
https://www.ftc.gov.tw/internet/main/doc/docDetail.aspx?uid=126&docid=18402