「工商時報_名家評論コラム」:投保法改正 役員の自社株買いを慎重に

2020-11-16

改正されたばかりの「証券投資家及び先物取引者保護法(以下「投保法」という)」は、一部の裁判所による株価操作罪とインサイダー取引罪に対する厳しい見解とを併せてみると、役員が株価の短期的に極端な暴落を避ける措置等を行うことにより、数年間も上場や店頭公開企業、興櫃(エマージング)

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改正されたばかりの「証券投資家及び先物取引者保護法(以下「投保法」という)」は、一部の裁判所による株価操作罪とインサイダー取引罪に対する厳しい見解とを併せてみると、役員が株価の短期的に極端な暴落を避ける措置等を行うことにより、数年間も上場や店頭公開企業、興櫃(エマージング)(以下併せて「公開発行会社」という)の取締役や監査役を務めることができなくなる可能性があるため、慎重にそれをしなければならない。以下は今回「投保法」第10条の1の改正内容について、簡潔に紹介する。

 まず、会社法では、会社の取締役や監査役を務める消極的な資格を、特定の刑事犯罪行為を犯した者が裁判所により有罪判決を下されたが、まだ執行は完了しておらず、又は執行完了や執行猶予期間が満了してから2年未満の場合に限っている。上記に該当する者は取締役や監査役を務めてはならない。

 ただし、公開発行会社の取締役や監査役の適否は多くの投資者の権益に大きく影響を与えるため、「投保法」では以下の通り規定する。公開発行会社の取締役や監査役の証券取引法第155条の株価操作の罪若しくは第157条のインサイダー取引の罪が判明したとき、又はその業務の執行が会社に大きく損害を与える行為若しくは法令や定款の重大事項に違反することが財団法人証券・先物投資者保護センター(以下、「保護センター」という)に認められた場合、保護センターは裁判所に解任を申し立てることができる。この場合、当該役員が裁判所の有罪判決を受けるか否かにかかわらず、すべて内容が適用される。

 また、保護センターの作業弁法には、以下の通り規定されている。検察官が起訴し裁判所が判決を下す前に、保護センターが会社に重大な損失があると認めた場合、取締役や監査役の解任訴訟を提起することができる(「財団法人証券・先物投資者保護センターの証券投資家及び先物取引者保護法第10条の1に関する訴訟事件の処理弁法」第3条を参照)。

 今回改正された「投保法」には、仮に公開発行会社の取締役や監査役が証券取引法第155条の株価操作の罪若しくは第157条のインサイダー取引の罪を犯し、民事裁判所が前述の「投保法」に従い解任若しくは取締役や監査役に選任されてはならないと確定判決が出た後の「3年以内」に、全ての公開発行会社の取締役や監査役を務めることができないと明文化した。その取締役や監査役を務めている法人も、会社法第27条第1項に従い、彼らを代表に指定し取締役や監査役の職務を行使させることもできない。

 特に一部の裁判所は、株価操作の罪又はインサイダー取引の罪に対し厳格に認定している。例えば役員による株価の短期的な極端な暴落を避ける措置の行為も株価操作の罪になりうると判断した裁判所があり、取引の主観的な目的を考慮せず反対売買(例えば未公開情報が上げ材料なのに株を売ってしまった場合)をインサイダー取引の罪と認める裁判所もある。こういった厳格な見解と上記「投保法」の最新規定と併せてみれば、役員による株価の短期的な極端な暴落を避ける等の行為があれば、当該役員は、数年間公開発行会社の取締役や監査役を務めることができなくなる可能性がある。

 しかしながら、仮に公開発行会社の取締役や監査役が株価操作又はインサイダー取引などの行為をしても、個人の道徳のみにかかわるものであり、役員に適するかどうかとは関係があるのだろうか。会社及び株主に対して、取締役や監査役が株価操作又はインサイダー取引などの行為をするかどうかについては、役員としての運営能力に関係あるのだろうか。これは、改正前「投保法」第10条の1に定められた「業務を執行し、会社に重大な損害をもたらす行為又は法令や定款に違反した重大事項がある」という要件に合致しているだろうか。当該役員の任期における行為に限って、裁判所に解任を申し立てることができるのだろうか。今回「投保法」が改正される前に、このような問題は民事裁判所において大きく争われていた。ただし今回の改正後、株価操作又はインサイダー取引などの行為はすべて法定解任事由に属し、当該役員の任期における行為に限らないと明文化している。改正後の規定は合理的ではないかもしれないが、再び改正される若しくは憲法解釈が行われるまでは、裁判所は現行法令に従い裁判するため、慎重に対処しなければならない。

 解任事由について、この法律による改正後の規定は、当該任期の行為に限らないものの、制限がないのではない。「保護センターが解任事由を知った時点から2年間行使せず、又は解任事由が発生した時点から、10年経過すると消滅する」という期限が定められている。

(この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/legal/24687.html