工商時報_名家評論コラム オマージュが著作権侵害になる?

2025-04-23

アニメ動画巨匠の作品に憧れている学生が巨匠のスタイルで個人写真や家族写真をアニメション風に再現したら、多くの人はポジティブに受け止め、著作権侵害には思いも寄らないでしょう。

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アニメ動画巨匠の作品に憧れている学生が巨匠のスタイルで個人写真や家族写真をアニメション風に再現したら、多くの人はポジティブに受け止め、著作権侵害には思いも寄らないでしょう。

もしもこの学生が図書館から借りてきた巨匠の作品集をコピーし、巨匠の画風を練習するためにいつでも参考できるように保有して、最後できたアニメーション風の個人写真や家族写真が作品集の中のどの作品も模倣していなければ、巨匠の著作権侵害になるか。もしもこの学生が自分が買った巨匠の作品集を持ち歩きやすく学習するためにコピーしたら、結果はどう違うか。もしも学生がAIと入れ替わったら、どう違うか。

著作権者には、著作物 を複製および翻案する権利がある。もしも巨匠の同意なしに巨匠の作品を複製や翻案すれば、巨匠の著作権を侵害することになる。そうは言っても、著作権が保護するのは具体的な作品であり、作品に含まれている思想や概念、原理に及ばない。巨匠の作品スタイルが思想や概念に該当するため、それを模倣したアニメーション風の個人写真や家族写真は巨匠の著作権を侵害することにならない。だが、模倣したものが巨匠の作品の中のある人物に似ていれば、複製や翻案に該当し巨匠の著作権を侵害する可能性がある。

コピーは一種の複製行為であり、巨匠の作品集が図書館から借りてきたのであろう自分で買ったものであろう、巨匠の同意なしでコピーすることは、著作権侵害になる可能性がある。その一部のみコピーし、かつ個人で使用して公開や販売することがなければ、公正利用(フェアユース)になるチャンスがある。公正利用とは、法律で明文化された特定な範囲内で他人の著作物 を利用することであり、許諾を取得しなくても他人の著作権を侵害することにならない。通常、学術やジャーナリズム、公共の福祉、イノベーション奨励などに基づいて行われている。

現在の著作権法は、AIにより規範が変わったことはない。AIが巨匠のスタイルを模倣してアニメーション風の個人写真や家族写真を生み出しても、その生み出された作品に巨匠の作品の中のある人物に似ていなければ、巨匠の著作権を侵害することに当たらない。ただ学習のプロセスに違いがあり、人間の学習は脳の記憶を通して巨匠の作品を脳の中に刻むことであり、それは複製でも翻案でもないため、著作権侵害にならない。しかしながら、AIのトレーニングのプロセスにおいて、大量の作品をAIのデータベースに提供しなけれなならないため、作品の複製にかかわってくる。もしも作品の著作権者の同意を取得していなければ、著作権侵害になる可能性がある。

AIのトレーニングのプロセスが公正利用の範疇に入るかどうかは、近ごろ著作権法の話題になっている。経済部知的財産局は、次のように示したことがある。芸術家やイラストレータの作品が独創性および創作性を有していれば、著作権法に保護される美術の著作物 となる。AIの芸術生成ツールをもって人工知能でネット上のソースに接続し、アルゴリズムでネット上の著作物 を利用して学習すれば、他人の著作物 を複製する可能性がある。公正利用の規定が定めている状況を除き、著作権者の同意や許諾を取得しなければならない。公正利用を主張することができるかどうかは、ケースバイケースで判断すべく、まだ一定な基準が存在しない。

現在海外では、AI開発者が無許諾 の著作物を使用してAIモデルをトレーニングすることは著作権侵害に当たるとして、著作権者によるAI開発者に対する訴訟が数多く起こっており、その中には、ニューヨーク・タイムズがOpen AIとMicrosoftを、ゲッティ・イメージズがStability AIを、複数のアーティストがStability AI、Midjourneyなどを訴えたケースなどがあり、AI開発者はいずれもフェアユースを侵害に対する盾として利用している。

AIが普及し、私たちの日常生活の一部となり、商業化されるにつれて、世界は、これらの判決がAIの公正利用の境界をどのように明確にするのかに注目しています。

この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://www.ctee.com.tw/news/20250423700123-431305