工商時報_名家評論コラム 合法的に見えども実は詐欺 ? 関連当事者取引の正体とは

2025-07-24

「会長のお友達がある会社をつくったが、その価格設定が相場よりちょっと安いけど問題になる?」、「定年した副社長が顧問として会社の意思決定にかかわっているのは違法なの?」――こうした一見普通の状況でも、実は関連当事者取引のグレーゾーンに踏み込んでいるかもしれない。 関連当事者取引自体は違法ではないが、法

作者

作者

No items found.

「会長のお友達がある会社をつくったが、その価格設定が相場よりちょっと安いけど問題になる?」、「定年した副社長が顧問として会社の意思決定にかかわっているのは違法なの?」――こうした一見普通の状況でも、実は関連当事者取引のグレーゾーンに踏み込んでいるかもしれない。

関連当事者取引自体は違法ではないが、法律では、他の人より関連当事者を優遇しないことを望んでいる。具体的には、関連当事者取引は少なくとも次に挙げる3つの要求を満たしなければならない。一、情報開示(情報の透明性):〈証券発行者財務報告作成指針〉第18条に基づき、企業は関連当事者取引の情報を開示するものとする。二、公正性:取引条件は公正であるものとし、価格や支払条件が市場慣行に適合しなければ、〈証券取引法〉第171条第1項第2号の「異例取引」に該当する可能性がある。三、透明性と疑義回避:手続きが適法であり、重大な取引は取締役会に提出し決議されたほうがよろしい。利害関係者は関与を回避すべく、取引は監査委員会もしくは社外取締役の審査を受けらなければならない。これらの要件を満たさない場合、軽い場合でもコーポレートガバナンスの原則を違反することとなり、最悪の場合は刑事犯罪になる可能性がある。

したがって、「関連当事者」とは何かについて理解する必要がある。一つ目は形式上の関連当事者で、その定義は国際会計基準第24号、証券発行者財務報告作成指針第18条および財務会計準則公報第6号第2条にて定められている。最も一般的なのは、1.持分法で評価する被投資会社、2.会社に対する投資を持分法で評価する投資家である。二つ目は実質的な関連当事者であり、つまり法的形式より経済的実質が大きい関連当事者である。

残念ながら、真に巧みな犯罪者は、常に法律を回避している。犯罪者は、形式的な関連当事者ではなく、「借名」の取引相手をつくっており、こういう時は、財務会計準則公報第6号第2条をもって判断しなければならない。「関連当事者であるかどうかを判断する際には、その法的形式を留意するだけでなく、その『実質的な』関係も考慮する必要がある。」犯罪者は、借名やペーパーカンパニーを利用するほか、多層的で複雑な海外のペーパーカンパニーの取引構造や細かく分割された取引条件を利用し、重大取引の基準値を回避する。このような取引の特徴は、主観的な判断と見積もり手続きの評価が難しいことである。

これに踏まえ、企業はこのような隠れた法的リスクをどう対処すべきでしょうか。本稿では、潜在的なリスクを効果的に防止する3つの防衛線を構築することをご提案する。まずは、情報開示システムを強化することである。企業は、取締役や支配人およびその配偶者、二親等以内の血族、定年退職後でも意思決定に参加する元経営陣、間接的に支配されている会社などを含む明確な「実質関連当事者」リストを作成する必要がある。

次に、独立した審査体制を確立することである。重要な取引は取締役会の承認が必要とし、監査委員会が設置されている場合、まずその承認を取得し、2日以内に公告して株主総会に報告しなければならない。また、取引価格は公正な市場慣行に適合するものとし、特に不動産や無形資産など特殊な資産は、必ず専門的な第三者の見積報告書か会計士の意見書が必要となる。

最後は、社内監査を強化することである。監査部門は、毎年関連当事者取引に対して抜き打ち検査を行い、自動的な危険信号警告メカニズムを構築しなければならない。取引金額が開示基準値に近い場合や、多数の取引に分割されている場合には、直ちに社内調査手続きを開始する必要がある。

要するに、関連当事者取引は「正々堂々、公開・公正」でなければならない。私利私欲や私的利益のために行われてはならず、また会社資産に損失をもたらしてはいけない。社内で明確で透明な社内統制と開示手続きを確立することは、不正な利益移転のリスクから会社を守るだけでなく、企業の評判と投資家の信頼を守ることにもつながる。こうして初めて、企業は安定した未来をつくることができる。

 

この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://www.ctee.com.tw/news/20250724700113-431305