「工商時報_名家評論コラム」: 企業M&A法改正が可決、M&Aの新紀元を開く

2022-06-13

近頃、台湾で新型コロナウイルスが再び流行になり、何日も続けて数万人の新規感染者数が報告されており、一部の産業は大きく影響されている。先ごろ労働部が公布した「無給休暇」(中国語:「無薪假」)を実施した数字について、実施した企業の社数も実施した人数も増える一方である。

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 5月24日、立法院は、企業M&A法の一部条文改正案を正式に可決した。会社法の改正に合わせた条項調整のほか、今回企業M&A法の改正目標は、主に次の3つのポイントが挙げられる。
株主が合理的な期間において早くM&Aの情報を知るために、今回の法改正では、株主の権益保障を強化するため、企業は株主総会の招集通知で、取締役が合併・買収について利害関係のある重要内容及び賛成・反対の理由を記載しなければならないと定めた。公開発行会社がM&Aを行う時、10%以上の株式を保有する大株主がM&Aに参加する他の会社の取締役であれば、説明義務があると新たに規定した。
 また、改正前では、M&Aを反対する株主は、異議を表明し「議決権を放棄した」株主だけが会社に対し、公平な価格でその有する株式を買い取るよう請求することができるとされていた。これで株主の権益に対する保障は、不完全である。今回の法改正では、株式買取請求権の適用範囲が拡大され、議決権を放棄せず、反対投票をした株主にも株式買取請求権が認められた。これにより、M&A取引において常に弱者になりがちな反対株主の権益を保障する目的を達したのである。
一、 非対称性M&A、株式転換・分割の適用範囲の拡大により、M&Aの柔軟性と効率性を向上させる。
現行法では、非対称性合併の2つの適用要件「M&Aを行う会社が交付する株式は、発行済みの株式総数の20%を超えない」かつ「M&Aを行う会社が対価として交付する株式、現金及びその他の資産の総額は、M&Aを行う会社の純資産額の2%を超えない」を同時に満たして初めて、存続会社の取締役会により、特別決議をもってM&Aを行うことができ、株主総会の決議を必要としない。しかしながら、2%という基準は前時代的なものであり、M&Aの流れを効率よく柔軟にするため、日本の簡易合併に関する法規制を参考し、20%に緩和した。また、前述の2つの適用要件を緩和し、その中の1つを満たせば、同条項を適用することができる。これによって、簡易合併の手続きを進めることができ、存続会社の取締役会の特別決議をもってM&Aができ、株主総会の決議を必要としないので、M&A取引の便利性を向上させる。
 また、今回の改正では、第29条の非対称性株式転換と、第36条の非対称性分割について、非対称性合併と同じ改正基準を取り、M&Aを行う会社が適用する簡易合併手続きの弾力性を緩和し、合併の効率性を促した。
二、 租税の納付措置を緩和し、合併意向を促す
合併案から納付された税金について、今回の改正では、一層寛大な租税措置を定めた。無形資産について、所得税法第60条に認められた権利のほか、改正法ではその範囲を拡大し、集積回路の回路配置利用権、育成者権、漁業権、鉱業権、水利権、営業秘密及びコンピューターソフト及び特許権を取り入れた。改正法では、存続会社がM&Aによって上掲の無形資産(将来識別・支配可能、一定な経済利益が得られるもの)を取得した場合、10 年で均等償却することができるよう緩和され、税負担を軽減することができる。
 また、買収又は分割されるベンチャー企業(設立登記からM&Aの決議に至るまで5年未満で、非公開会社であるもの)がM&Aを受け入れる意向を促すために、今回の改正では、消滅される会社の個人株主が存続会社から取得する株式の対価で計算する配当所得の税金について、全額を次年度から起算して第5年目に繰り延べることができ、個人株主の納税負担を軽減した。

(この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/business/41526.html