「工商時報_名家評論コラム」: 裁判手続における新型コロナ警戒レベル3への対応

2021-06-17

中央感染症指揮センター(新型コロナウイルス対策本部、以下指揮センターという)は、2021年5月25日に全国の新型コロナウイルス警戒レベル3の発令を2021年6月14日まで延長し、2021年6月7日に再び警戒レベル3の発令を2021年6月28日まで延長すると公布した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響

作者

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周慧心

中央感染症指揮センター(新型コロナウイルス対策本部、以下指揮センターという)は、2021年5月25日に全国の新型コロナウイルス警戒レベル3の発令を2021年6月14日まで延長し、2021年6月7日に再び警戒レベル3の発令を2021年6月28日まで延長すると公布した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、訴訟事件が裁判所において審理されている場合、注意すべき点はありますか。

 司法院が発表した〈新型コロナウイルス警戒レベル3の圏域における裁判所防疫マニュアル〉によると、関連事件について以下の原則の通り進める。

一、6月28日までに、原則として全面的に一時休廷
 即日から6月28日まで、全国の各級裁判所は全て一時休廷する。ただし、時効性(例えば被告は勾留中、判決の言い渡し)、緊急性(強制処分、証拠保全事件等)、必要性(その他の即時対応しなければならないと認められる)のある事件は、この限りではない。そのほか、裁判所及びその所属機関内外において、部外者が参加する業務又はイベントが行われる場合も、上記の原則に従うとする。

二、例外に開廷及びその他の案件業務を行うとき、できるだけ遠隔テレビ会議(延長法廷を含む)及びデジタル書面・証拠を提示する方式をとるとアドバイスする。それに対し、司法院は6月1日に第194回院会を開き、〈伝染病完全拡大における司法手続特別条例〉草案を可決し、立法院へ送り、審議を待っている。

遠隔開廷手続きの進み方
 司法院は海外司法機関の防疫経験を参考し、新型コロナ禍期間において、例外に開廷やその他の案件業務を行う際に、できるだけ法に従い、遠隔テレビ会議(延長法廷を含む)及びデジタル書面・証拠を提示する方式をとるとアドバイスする。また、〈裁判所の遠隔テレビ会議による開廷の操作マニュアル(法廷版、当事者版、関係者版)〉及び〈裁判所の遠隔テレビ会議による開廷の参考マニュアル〉(詳細は司法院のホームページをご参照ください)を公布し、遠隔テレビ会議による開廷(延長法廷を含む)の技術的説明又は運用の参考情報を提供する。その要点は以下の通りである。

一、ソフト・ハードウェア:「U会議」というソフトを使用し、インターネットを通してダウウンロードできる。そのソフトをダウンロードしなくても、会議に参加することはできる。ハードウェアについて、コンピューターやスマートフォン、タブレット、ノートパソコン(カメラとマイク付き)のいずれを準備し、「U会議」を支援できることを確認する

二、運営タイプ:
「標準タイプ」:裁判官は裁判所内の主な法廷において開廷し、当事者は裁判所外で遠隔テレビ会議を通して出廷する。
「延長法廷タイプ」:裁判官は裁判所内の主な法廷において開廷し、当事者等(当事者と関係者を含む)は裁判所内の延長法廷へ出廷する。
「混ぜ合わせタイプ」:裁判官は裁判所内の主な法廷において開廷し、一部の当事者は裁判所内の延長法廷へ出廷し、一部の当事者は裁判所外で遠隔テレビ会議を通して出廷する。
その3つのタイプは、裁判官が各事案の状況に応じ、最も適切なタイプを選び実施できる。

三、開廷の手順:

  1. 「U会議」にログイン:裁判所の書記官は、開廷通知書を郵送し、遠隔開廷の期日を知らせた後、開廷前に電話や適切な方法で開廷の当事者及び関係者を連絡し、9桁の「U会議」IDを教え、当日に「U会議」にログインしてもらう。
  2. 発言:遠隔出廷において発言する場合、手を挙げるか他のメッセージをもって示すものとする。審判長が同意してから発言する。発言するときは、マイクの消音を解除してからする。発言を終える場合、再び通話画面の消音ボタンをタップし、マイクを消音する。
  3. 書類や証拠を提出する方法:デジタル書類であれば、事前に裁判所へ送信する。開廷中において、カメラを通して裁判所へ示すことができる。
  4. 宣誓書:裁判所は、開廷通知書と紙の宣誓書を一緒に郵送する。証人は開廷中において宣誓書を朗読し、宣誓書の上に署名したうえ、前述の書証の提出方法で裁判所へ提出する。
  5. 調書の署名方法:調書(例えば調停調書)が当事者に署名する必要のある場合、当事者は、裁判所が科学技術をもって送信する調書を閲覧した後、裁判所が予め提供した調書に署名、又は調書を直接にプリントアウトして署名した後、前述の書証の提出方法で裁判所へ提出する。
  6. 閉廷:裁判官が閉廷した後、「終話」ボダンをタップすれば、遠隔法廷を出ることができる。

四、その他の注意事項

  1. 遠隔開廷では、どのタイプでも、全て録音・録画を禁止されている。違反する場合、裁判長は裁判所組織法第89条に従い、録音・録画(生放送を含む)の中止を命じ、秩序維持の権力を行使することができ、また同法第90条第3項に従い、その録音・録画(生放送に対する録音・録画を含む)を削除するよう命じるとともに、過料を処することもできる。
  2. 法廷秩序又は出席者の権益を影響しないため、裁判長に同意しなければ、第三者が遠隔出席者の近くに同席することはできない。
  3. 法廷の傍聴者は、主務官庁の伝染病防止法による関連措置に従い、事前に裁判所へ連絡する必要がある。

五、書面や書類のデジタル送信について

  1. インターネットを通して、民事起訴書面及び補充書面を送信することができる。
    「司法院デジタル認証サービスサイト」において、自然人の身分証明カードをもって送信するIDを取得してから、「司法院デジタル訴訟書類(オンライン起訴を含む)サービスサイト」にログインし、書面をアップロードする。
  2. 現行の科学技術による書類の送信に関する規定のほか、司法院の院会において、〈伝染病流行期間の司法手続き特別条例〉草案を可決した。その中では、刑事訴訟書類・勾留もしくは勾留延長の勾留状・決定、少年保護事件の収容もしくは収容延長、少年保護事件の調査・審理及び執行手続きの関連書類は、端末を利用して送信することができることが盛り込まれる。それらの規定は、検察官の調査手続にも準用される。

 裁判所は民事訴訟手続又は家事訴訟手続において、端末を利用して訴訟書類を送信することができる。これによって、端末で書類を送信する方法の適用範囲が、さらに拡大されていく。

 今回新型コロナウイルスの感染拡大の影響範囲が広いので、国民が、訴訟事件に関する事項について、書記官に今後の開廷期日と手続を確認し、予め対応することをアドバイスする。しかしながら、起訴時効、控訴、抗告、再議、再審等が新型コロナ禍のせいで遅延された場合は如何に処理するか、公開審理原則は如何に実践するか、裁判所による手続の選択につき、当事者は如何に救済するか、科学技術を利用して送信する対象は代理人や弁護人を含むか等の疑問について、今後の手続運営において関連争議を生じるかもしれない。質問があれば、専門の弁護士に相談することをアドバイスする。

この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/legal/30096.html