企業が知っておきたい:公開発行会社年次報告書に記載すべき事項に関する準則の改正

2020-01-30

「公開発行会社年次報告書に記載すべき事項に関する準則(以下「本準則」という)」は、1988年6月7日に作成・公布されて以来、17回の改正を経ったが、「新版コーポレート・ガバナンス青写真(2018~2020)」関連措置の推進とともに、国際主要証券市場の規範及び「2018年アジア国別コーポレートガバナン

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「公開発行会社年次報告書に記載すべき事項に関する準則(以下「本準則」という)」は、1988年6月7日に作成・公布されて以来、17回の改正を経ったが、「新版コーポレート・ガバナンス青写真(2018~2020)」関連措置の推進とともに、国際主要証券市場の規範及び「2018年アジア国別コーポレートガバナンス達成度・ランキング(CG Watch 2018)」の評価事項を参考しながら、2020年1月22日に台湾金融庁は再び改正案を公布した。今回の改正ポイントは、「コーポレートガバナンス運営状況開示の強化」、「取締役、監察人と上級管理者給与の透明化及び合理規定」及び「非財務的情報の開示品質の引き上げ」である。その内容は以下の通りである。

一、 コーポレートガバナンス運営状況開示の強化

(一) 取締役会の監督職能を強化するため、会社の代表取締役、総経理またはそれに相当する職務(最高管理者)を務める者が同一人物またはお互いに配偶者や一親等親族であった場合、会社はその理由と合理性、必要性及び対応措置などの情報を説明しなければならない。

(二) 「上場・店頭企業ガバナンス実務守則」及び「上場・店頭企業信義誠実経営守則」の改正に合わせ、コーポレートガバナンスや信義誠実に経営している状況及び執行措置を充分に開示するため、本準則の関連附表も一緒に調整することになった。

(三) コーポレートガバナンス責任者の退職や解任が重要な情報であるため、会社はコーポレートガバナンス責任者の退職や解任を開示する義務を明文に定めた。

二、 取締役、監察人と上級管理者給与の透明化及び合理的規

(一) 情報開示の透明度を実現するため、取締役、監察人と上級管理者の給与が統合された等級格差基準を取る場合は、その差を縮め、現在の8級から10級に変更した。

(二) 欠損会社の取締役、監察人と上級管理者給与の開示を強化し、会社の経営業績と結びつくため、各取締役及び監察人の給与状況を開示することを明文に定めた。その内容は、最近3年度の個人もしくは個別の財務報告に税後欠損があること、上場・店頭企業のコーポレートガバナンス評価不良もしくは上場・店頭企業の非管理者のフルタイム従業員の平均給料が低いなどを含む。

(三) 会社は独立取締役の給与支給政策、制度、基準や骨組みを開示する義務を明文に定めた。そして負担している職務、リスク、投入時間などの要因に基づき、支給した給与金額との関連性を説明すること。

(四) 最近3年度の個人もしくは個別の財務報告に税後欠損があることと、上場・店頭企業最近年度のガバナンス評価が最下級であること、または最近年度及び年次決算報告書が開示される日までに取引方法が変更されるや取引停止、上場・店頭終了などの状況があった場合に、会社は給与前五位の最高管理者の給与金額を開示しなければならない。

(五) 取締役、監察人及び上級管理者等がもらう給与情報の透明度を強化するため、親会社から受け取る給与を開示しなければならない。

(六) 取締役会にその運営効率及び職能発揮の状況を理解させ、取締役の給与と業績との結びつきを強化し、取締役会の運営を規範するため、上場・店頭企業の取締役会自己(または同業)評価関連情報を開示しなければならない。

三、 非財務的情報の開示品質の引き上げ

(一) 会社が社会責任を履行する場合の開示項目を改正した。会社運営に関連する環境や社会とコーポレートガバナンス等のリスクアセスメントを含み、関連したリスク管理政策もしくは戦略を作成すること。

(二) 会社及びその内部人員が処罰を受ける情報を開示することを明文に定めた。会社情報を開示する品質を高めるため、その処罰結果が株主権益または証券価格に影響重大な者に限り、処罰案件の基準を開示すること。

(三) 会計士費用情報の開示を強化した。現在年次報告書に定められた監察費用減少金額等情報の比率を15%から10%に下げる。

(四) 自社株買いを予定している株式数量執行率(自己株式取得率)は、投資者の投資判断に対して重大な情報であるため、自己株式取得率の関連情報を開示しなければならないと明文に定めた。

(五) 環境保護法規遵守の推進及び従業員の労働権益を守るため、環境保護法規及び労働基準法の内容に違反した環境保護検査及び労働検査結果を開示しなければならないと明文に定めた。

今回の改正は、上場・店頭企業への影響が一番大きいである。台湾金融庁証券先物局の統計によれば、現在666軒もの上場・店頭企業の代表取締役と総経理は同一人物やお互いに配偶者であり、新しい制度に従い、その原因と合理性や将来の改善策を提出し説明しなければならない。また証券先物局にれば、上場・店頭企業に338軒が2年間欠損、159軒の非管理者のフルタイム従業員の平均給料が50万元未満など、当該体質不良、給与が低すぎる会社は、新しい制度に従い取締役と監査役等の給与を開示しなければならない。これは、企業の高級管理職の給与の有り様を表させるのである。

以上で、新しい制度の下で、コーポレートガバナンスの運営を強化する要求に合わせるため、公募発行した企業の法令遵守のコストは高くなるはずであるが、将来はどう調整・対応するのか、各企業の関連政策を試している。新しい法令の関連規定と要求に応じるため、できるだけ早く準備と計画をたてた方がよいと考える。