EU単一特許ガイドライン、正式に発効(後編)

2025-06-16

前編では、EU単一特許ガイドライン(Unitary Patent Guidelines)が今年4月1日に正式に発効し、単一特許を取得する行政手続きがより明確なプロセスを踏むことができるようになったと説明した。ただし注意していただきたいことは、欧州特許条約と異なり、EU単一特許に参加している国はEU加

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前編では、EU単一特許ガイドライン(Unitary Patent Guidelines)が今年4月1日に正式に発効し、単一特許を取得する行政手続きがより明確なプロセスを踏むことができるようになったと説明した。ただし注意していただきたいことは、欧州特許条約と異なり、EU単一特許に参加している国はEU加盟国に限られているため、単一特許制度(Unitary Patent)はイギリスで適用できない。イギリスにおいて特許保護を取得したい場合、従来の欧州特許制度(European Patent)に従うか、イギリス特許庁に出願しなければならない。また、EUの加盟国の中でも、2025年5月時点でポーランド、スペイン、クロアチアはまだ単一特許裁判所協定(UPCA)に署名していないため、EU単一特許制度を適用することはできない。

単一特許に関する紛争は、単一特許裁判所(Unified Patent Court)にて訴訟を提起するものとする。単一特許裁判所が2023年6月1日から正式に開設し、2025年4月30日まで第一審裁判所で受理された案件数が305件の権利侵害案件を含め、計836件という結果が同裁判所により5月に発表された。手続きの言語について、英語が55%、ドイツ語が38%、フランス語が3%、その他の言語が4%となっている。

単一特許裁判所は一致した特許紛争解決のメカニズムを確立したものの、実務においては、各支所が特許紛争を処理する時、異なる審理特性や慣習を示す可能性があり、企業にとって重要な戦略的考慮事項となる。特許権者でも特許の有効性を挑戦する者でも、適切な管轄裁判所を選択することは、より正確な攻撃戦略を策定するのに役立ち、訴訟を成功させる肝心な要素の1つとなるでしょう。

[1] UPC Member States map, https://www.unified-patent-court.org/en/organisation/upc-member-states

[2] Case load of the Court since start of operation in June 2023 update 30 April 2025

[3] Dr. Alex Frank, Nick Reeve, UPC’s NanoString Decision – Inventive step considerations with no strings attached? https://patentblog.kluweriplaw.com/2024/11/12/upcs-nanostring-decision-inventive-step-considerations-with-no-strings-attached/