「工商時報_名家評論コラム」: コロナショックでの給料事情

2022-06-08

近頃、台湾で新型コロナウイルスが再び流行になり、何日も続けて数万人の新規感染者数が報告されており、一部の産業は大きく影響されている。先ごろ労働部が公布した「無給休暇」(中国語:「無薪假」)を実施した数字について、実施した企業の社数も実施した人数も増える一方である。

作者

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 近頃、台湾で新型コロナウイルスが再び流行になり、何日も続けて数万人の新規感染者数が報告されており、一部の産業は大きく影響されている。先ごろ労働部が公布した「無給休暇」(中国語:「無薪假」)を実施した数字について、実施した企業の社数も実施した人数も増える一方である。

 注意していただきたいのは、「無給休暇」は法律上の専門用語ではなく、企業が勝手に採用できる運営制度でもない。「無給休暇」の正確な言い方は、「労使双方が協議した結果、労働時間を減らすこと」である。企業が景気により欠損となり、運営コストの支出を抑えるため、労働者に休業、もしくは一部休業を要求することは、労働者が会社の都合で労務を提供できなくなるため、契約により賃金の全額を支払うべきである。

 ただし、労働部が公布した「景気影響により労使双方が協議し労働時間減少に対する注意事項」(以下「労働時間減少注意事項」という)によると、企業が景気により業や減産となった場合、労働者の整理解雇等の社会問題を防止するため、「労使双方が協議した結果、労働時間を減らすこと」を推奨する。これは、いわゆる「無給休暇」である。また、2020年2月10日付け労働条3字第1090044699号書簡において、労働部は、企業が新型コロナウイルスの流行により業績が悪化、経営難となった場合、「労働時間減少注意事項」により休業を実施することができると示している。

 しかしながら、企業が休業を実施する時、「労働時間減少注意事項」により、次のようなことを注意しなければ違法となり、処罰される可能性があります。まず、労働時間を短縮することは、一人ひとりの労働者にかかわっているので、書面をもってそれぞれの同意を取得することが必要である。企業に労使会議や労働組合を設けている場合でも、労使関係の調和を求めるため、労使双方は労使会議や労働組合を通じて、休業につき協議することができるが、強制的な効力はない。また、休業は一人ひとりの労働者の労働条件の変更にかかわっているので、労使会議や労働組合が同意しても、労働者個人の同意も必要である。

 次に、企業は一人ひとりの労働者と協議し、休業の実施を同意してもらった後、労働時間の短縮に比例して給料を減少することを別途に約定することができる。だが、月給制の労働者であれば、一カ月間出勤しなくてもいいと約定しても、企業が毎月支払う給料は、基本賃金より少なくなってはいけない。また、企業は、本来約束した出勤しなくてもよい日に労務の提供を要求する場合、労働者に同意してもらい、別途の手当を給付しなければならず、残業させた場合も残業代を支払うべきである。

 また、休業を実施する時、原則的に3カ月間を上限とし、事前に主務官庁へ申告し、関連書類を提出しなければならない。企業の運営が正常に戻り、又は労資双方が合意した休業期間が満了すれば、本来の労働条件に復帰しなければならない。

 最後に、多くの企業が油断しやすいのは、休業している間に、労働者のため、「本来の賃金金額」により退職金の掛金を拠出すべきことである。労働時間を短縮する期間での労働者の労働保険や健康保険に関して、労働保険局や健康保険局に関連書類を提出し、労働保険や健康保険に加入する賃金金額の減額を申請し、労働者の「休業期間の賃金金額」をもって保険に加入することができる。

 新型コロナウイルスの流行が再拡大につれ、今回は、店内飲食が禁止されておらず、関連規制も前回より緩和されているが、やはり多くの産業の運営に負担をかけている。コロナ禍が猛威を振るう中、企業が休業に関する法規制を如何に順守し、労働者と協議して休業を実施することにより経営難を乗り越えるかは、実に待ったなしの課題である。
(この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/social/41460.html