【工商時報_名家評論コラム】 第三者決済と電子決済の違いとその法規制

2023-11-10

2023年10月1日、台湾でよく使われている通信・決済アプリ「LINE」の会社名は、「LY Corporation」に変えられた。それで「LY Corporation」の複数サービス、例えばLINE TODAY、LINE FRIENDS、LINE VOOM、LINE SPOT等の提供者名称も変えられ

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2023年10月1日、台湾でよく使われている通信・決済アプリ「LINE」の会社名は、「LY Corporation」に変えられた。それで「LYCorporation」の複数サービス、例えばLINE TODAY、LINEFRIENDS、LINE VOOM、LINE SPOT等の提供者名称も変えられたことに気づくかもしれないが、今までのLINEでも、現在のLYCorporationが提供する「決済サービス」は一体「電子決済」か、「第三者決済」か、実はよくわかっていない、という人も多いのではないでしょうか。

「LINEPay」や「街口」について、支払いや友達へ振り込む道具であると認識されているものの、どれが「第三者決済」でどれが「電子決済」なのか、この2つにどのような違いがあるかについては、特に分かっていない。実際では、この2つの決済方法は法規制において、大きく異なっている。

 

■電子決済は、金融監督管理委員会により監督されている認可事業である

まず、「電子決済」というのは認可事業であり、金融監督管理委員会の許可を取得しなければならない。電子決済機構管理条項第4条第1項、第2項によれば、「電子決済機構」が経営できる業務は、実質の取引代金の受け取り・支払い代行、チャージ代金の受け取り・支払い、国内外の小金額送金、前3項の業務と関連する外貨及び大陸地域、香港、マカオの貨幣の為替及びそれらの主務官庁に認可された付随・派生業務等である。現在電子決済機構は、金融機構が兼営するもののほか、街口支付、一卡通Money、悠遊付、icashPay、全盈+PAY、全支付、橘子支付、欧付宝及び簡単付等の専門業者がある。

一方、電子決済機構管理条項第5条及び電子決済機構管理条項第5条第2項の授権規定事項弁法第3条によれば、「代金の受け取り・支払い代行」のみを提供し、代行する受け取り・支払い代金の金額が「1年間の毎日平均残高が新台湾ドル20億元を超えていない」とき、金融監督管理委員会の許可は不要である。このタイプの「代金の受け取り・支払い代行」サービスは、「第三者決済」に属する。「第三者決済」は認可事業ではないため、金融監督管理委員会に管轄されなく、経済部に会社登記手続きを行えば経営することができる。現在台湾では、第三者決済プラットフォーム業者は6,000社を超えており、「Pi拍銭包」、「PayPal」及び社名をLYCorporationに変更した「LINE Pay(将来名称を変更するかもしれない)」が含まれている。

 

■第三者決済は登記すれば経営でき、デジタル部により管理強化

簡単にまとめれば、「電子決済機構」が提供できるサービスは多く、代金の受け取り・支払い代行、チャージ代金の受け取り・支払い代行、送金及び国内外の小金額振込等を含んでいるが、金融監督管理委員会の監督や金融検査を受けらなければならない。そのため、情報安全や個人情報、マネロン防止、消費者保護の管理において、法規制は一段と厳しくなっている。それに対して、「第三者決済」の業者は「代金の受け取り・支払い代行サービス」しか提供できず、金額の上限も設けられているものの、金融監督管理委員会の許可が不要なので、受けた金融規制も監査もそれなりに緩いのである。

一方、第三者決済業者も電子決済機構との連携を通して、自分のプラットフォームにおいて「代金の受け取り・支払い代行」と「チャージ、送金」サービスを提供することができる。例えば、LYCorporationは電子決済機構の一卡通ICカード会社の株式を保有することによって、「チャージ、入金」サービスをアプリに統合した。利用者はLINEPayを利用し、連携店舗に代金を支払い商品を購入すること(第三者決済)ができたり、IPASS MONEYの電子決済サービスを通してアプリのウォレットをチャージしたり、ご飯代を立て替えてくれた友達に振り込んだりすることもできる。

一般消費者は「電子決済」と「第三者決済」の違いにあまり気にしていないが、管理の緩い第三者決済サービスを利用して不法行為を行う無法者、例えば詐欺集団や偽ブランド品販売者が大量な借名口座を通し第三者決済業者と契約し、「合法的なプラットフォーム」の代金の受け取り・支払い代行サービスを通して裏金を洗浄し、司法調査の難しさが大幅に上回るようなことを防止するため、デジタル部は今年1月1日から施行された「第三者決済サービス業者マネロン防止及びテロ資金供与防止弁法」において、第三者決済業者が売手の身分を確認すべく、そして売手が第三者決済業者の提供するサービスを利用するにあたり、適法でなければならないと規定している。更に今年7月、「第三者決済サービス機構エネルギー登録システム」を実施し、第三者決済サービス機構がそのマネロン防止コンプライアンス宣言書を提供し登録することを奨励するほか、デジタル部産業署によりマネロン防止に関するコンプライアンス資源と道具も提示されている。上掲のエネルギー登録を行っていない第三者決済業者は、将来銀行にマネロン防止の高リスク業者であると認定され、口座が解約されるおそれがある。前に述べたように、「第三者決済」を監督する法規制が一歩一歩着実に執行され、業者の運営に柔軟性を与えると同時に、金融消費者の利益と金融市場全体の安全性をも配慮したい。

 

この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://www.ctee.com.tw/news/20231109700108-431305