経済部エネルギー署によると、現在台湾における再生可能エネルギーを利用する市民共同発電所のビジネスモデルは、その運営する主体によって「地方自治体主導開始」、「システムオペレーター開始」、「市民自主開始」の3種類に分けられる。
前の2つは市民が資金や屋根を提供すれば済むのに対して、「市民自主開始」の市民共同発電所は、地域住民によるコミュニティ内のソーラーパネル、農地の水路を利用したマイクロ水力発電、小規模水力発電などの新規事業であり、用地の取得から場所の計画、資金調達、発電所の設置、地産地消か他のところへ売電するまで、すべて自分で考えて運営しなければならない。メリットは、市民が自主してその運営方法を決定し、地域の持続可能な発展につなげられることができる。しかし問題は、発電所の設置と運営が簡単ではなく複雑であり、規模が小さいため競争力と価格交渉の能力が不足になりがちである。
それで自分の需要に応じた法的書類の作成は、極めて重要である。以下に、実務経験を共有する。
運営主体の評価
再エネ市民共同発電所を運営できる法人形態について、関連法令では特に制限していない。政府機関と各公立学校のほか、会社、協同組合、財団法人、コミュニティ発展協会、アパート・マンション管理委員会、農産物生産販売団体など、民間の運営主体は多様である。事業開始にあたっては、会社法、協同組合法や民法などを参照することや、専門的なリーガルコンサルティングを受けた上、事業のニーズに最適な運営主体を丁寧に評価・選定することをアドバイスする。
投資者の資格制限
地域住民の参加と主体性を確保するために、発電事業は、地域住民に対し一定な人数と保有比率を保証し、いわゆる「外部」からの資金調達を制限する必要がある。地域資金が限られている可能性を考量すれば、外部資金を取り入れる需要がある、又は他の企業ユーザーも投資する意向がある場合、段階的な資金調達も考えられる。地域住民が市民共同発電所の発展を主導できるよう、運営主体の種類を選定してから、株主間のバランスのとれた役割分担を維持するために、まず出資計画を慎重に検討し、市民共同発電所の趣旨に基づき、様々な株式保有の組み合わせを設計する必要がある。
資金調達行動
地域における市民共同発電所の資金調達活動について、住民や他の投資者に説明するとき、関連法規制を違反することなく資金調達行為の適法性を確保するために、適法性を注意し、関連投資リスクを事実のとおりに説明しなければならない。
発電所の運営・管理
市民共同発電所は、その規模と専門能力に応じて責任者を選任し、例えば取締役会や理事会などのチームを組み、自ら発電所の運営を管理することができる。しかし発電事業の運営・管理は複雑なため、経営管理やキャッシュフロー管理、専門的なコンサルティングを提供できる専門のマネージャーや他の外部機構を委託するのを検討してもよい。
発電利益の地域還元
地域の市民共同発電所の公共性と地域参加を維持するために、市民共同発電所は、発電の利益を地域に還元する計画をさらに策定するとよい。ただし、利益剰余金があるという理由で支出できるではなく、地域へ還元する経費の財源は、選定された運営主体の種類に関する法規制に従って行わなければならない。
政府が〈市民共同発電所奨励弁法〉とインセンティブを推し進めるにつれて、民間におけるグリーンエネルギーへの移行という意識が台頭し、参入する市民や地域社会、中小企業は少なくない。「市民自主開始」の市民共同発電所の運営が複雑であるが、市民がグリーンエネルギーへの移行を実質的に有意義に参加でき、地域社会における再エネ発電に対する住民の責任感やコミットメントを育み、エネルギーの公正な移行をより実践できる重大な意味合いがある。地域社会の利害関係者との効果的なコミュニケーションと交流は成功のカギであり、それによって地域において、グリーンエネルギーの創生とコミュニティのエンパワーメントに対する合意と信頼感を構築することができるのである。
この文章は「工商時報」に掲載。 https://www.ctee .com.tw/news/20251016700125-439901