「工商時報_名家評論コラム」:スポーツリーグの「ペナルティ条項」について

2021-03-29

証去年の年末にプラス・リーグ(台湾のプロバスケットボールリーグ)は盛大に開幕し、再び多くのファンが視線を向けた。しかし多数の選手及びUBA傘下の大学新鋭を招聘したため、直接又は間接的に、SBL球団(台湾の準プロバスケットボール団体)はSBLの選手若しくはドラフト選考を経ていない、及び球団の同意なしで

作者

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魏培元

証去年の年末にプラス・リーグ(台湾のプロバスケットボールリーグ)は盛大に開幕し、再び多くのファンが視線を向けた。しかし多数の選手及びUBA傘下の大学新鋭を招聘したため、直接又は間接的に、SBL球団(台湾の準プロバスケットボール団体)はSBLの選手若しくはドラフト選考を経ていない、及び球団の同意なしで契約違反してほかのリーグに移籍した者に、最高3年の試合の出場停止処分を処するという「ペナルティ条項」を公表した。

 今回SBLが公表した条項は、日本プロ野球の「田澤ルール」を連想させる。そのルールとは、高卒・大卒・社会人選手が直接に米国へ行き海外球団と契約した場合、契約が終了してから日本に帰国しても、高卒選手は3年、大卒・社会人出身は2年間は日本のプロ野球球団とは契約できず、直ちに日本プロ野球の球団に加入できないというものである。これに対し、日本公正取引委員会は2020年7月から調査し始め、11月5日に、「田澤ルール」はアンリトゥンルール(不文律)を利用し、若手選手が自由に外国球団と契約する権利を制限し、当該ルールは日本の独占禁止法を違反したと説明している。しかし、日本プロ野球は2020年9月にこのルールを正式に撤廃したため、日本公正取引委員会はまだ日本プロ野球の12球団に行政罰を下していない。

 台湾や日本に比べ、プロスポーツの発展が一層全面的な米国において、このような競業避止は基本的に前世紀のものである。当時のプロリーグはメジャーリーグ(MLB)であり、19世紀に発足した時に保留条項(Reserve Clause)があり、選手がほかのチームとの契約、若しくはほかのリーグへ移籍することを制限した。

 当時の選手たちが使った交渉手段は、集団ストライキであった。しかし1975~76年に、MLBは保留条項を撤廃し、「フリーエージェント(FA)選手制度」になったため、選手にはほかのチームやリーグと契約する権利が生じた。

 また、米国のプロバスケットボールの発展を見ると、ABAとNBAが合併する前に、ABAにも似たような条項があり、発足したばかりのNBAと契約してはならないよう、選手たちを制限した。その後の1970年に、当時のNBA選手会会長もリーグの選手移籍制限は独禁法違反で訴えた。1976年NBAがABAを買収した後、NBAはMLBに倣って「フリーエージェント選手制度」を採り入れ、この事件を解決した。

 一方、ヨーロッパ各国にも多くのサッカーリーグが存在しており、これらのリーグやクラブもその成年した選手(18歳以上)の他国リーグと契約する権利を制限していない。主な理由として、このような制限条項は、リーグの選手の質や競争力を落としたり、選手の年俸や働く環境の品質が上がらないことにつながると認めたからである。

海外のスポーツリーグの発展から見れば、SBLのペナルティ条項のような制限を放棄した方が、選手の競争力と交渉能力向上につながり、スポーツ環境全体の発展にさらにメリットがある。ペナルティ条項は、球団が大事に育った選手を守ることはできても、選手の移籍の自由を制限すると同時に、その競争心にも影響したのではないか。

 長期的な視野に立って、各球団やリーグの競争は、運動選手の報酬と保障を促すきっかけになるかもしれない。より多くの優秀な運動選手が後顧の憂いなく、全力で注ぎ込めば、試合は自然に盛り上がり、一段と多くの観客が動員され、色々な試合に関心を持つようになるのである。将来二つのリーグが善意な競争と協力を通じて、さらに盛り上がる試合を見せることを期待している。

この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/legal/28357.html